食用油脂の基礎と劣化防止技術

  • このトピックには3件の返信、1人の参加者があり、最後にT・Oにより3ヶ月、 3週前に更新されました。
4件の投稿を表示中 - 1 - 4件目 (全4件中)
  • 投稿者
    投稿
  • #14405 返信
    T・O
    キーマスター

    tdo2020082701の質問

    #14406 返信
    T・O
    キーマスター

    質問:米油の劣化特性は他の油に対していかがでしょうか?天板油として使用していますが、高温のオーブン室に長期間保存している状況です。

    回答:30~40℃における酸化について、参考になると思われる論文があります。
    この論文のp79、特にp80の図a)~e)( e)が米油)はヘッドスペース脱酸素系と、空気暴露系の常温保存試験の結果となります。
    常温ですから約20℃とすると、油脂は10℃上がると反応速度が2倍になりますので、30℃ですと常温POV×2、40℃ですと常温POV×4で推測することができます。
    他の油種との比較では、特に安定が良いというわけではないとの印象ですが、大豆油やコーン油と同程度より少し安定という感じかもしれません。
    確かに油脂に対する抗酸化能が認められるとされるγ-オリザノールやトコトリエノールを含有している油種ですが、油の採油方法や精製方法にもそれぞれ違いがあるため、全ての米油に当てはめるのは難しいと思います。
    故に、米油の性状や含有成分とその含量(品質)、保存方法例えば、空気との接触面積や温度など、酸化に関する多くファクターの影響をうけますので、その点を加味しないといけません。
    最近ではスーパーでの米油の取扱が増え、色々な製品が棚に並んでおります。よく見てみると、製品毎に色の濃さ違うのですが(機会があったら観察してみてください)、やはり、原料(糠)の品質や精製方法がそれぞれ違いますので、そのような品質差が出ています。
    他方で、米油はジグリセライドが多い油種です。何が言いたいかとおもしますとジグリセライドはトリグリセライドより不安定で、遊離脂肪酸となり易いところがあります。そのため、酸価(AV)の上昇には少し注意が必要と思います。

    • この返信は3ヶ月、 4週前にT・Oが編集しました。
    #14606 返信
    T・O
    キーマスター

    質問:「水分活性は0.3~0.4が最も安定であり、それよりも水分活性が高い、もしくは低くても食品中の油脂の酸化は促進される。」
    (食用油脂の基礎と劣化防止p54)これのメカニズムを教えて欲しいです。知見もあれば、ぜひ。

    回答:メカニズムとしましては、過酸化脂質の単分子反応として(Rは脂肪酸)、
    ROOHから金属を触媒として、RO・+・OHからR・のラジカルができる反応と、
    2分子反応として
    2ROOHから金属を触媒として、RO・+ROO・+H2OからR・のラジカルができる反応があります。
    最も安定な水分活性領域では、触媒作用を有する金属触媒の水和によって上記反応が不活性化する、
    過酸化物と水との水素結合により過酸化物が安定する、
    ROOH:左右矢印:(水)HHO・・・H-OOR
    この効果によって安定している水分活性領域と言われております。
    水分活性0.3以下では、逆に、上記の効果がなく、酸化が促進されます。
    高水分の酸化促進については、
    高水分により遊離水が増し、この遊離水による金属触媒の溶解と共に、溶解した金属の移動性が増大して、
    その触媒作用により油脂の酸化が促進されると言われております。
    ただし、大切なことですが、
    含有する様々な食品成分の影響により、食品それぞれにおいて固有の安定水分活性帯を有していると考えるのが
    適切でございます。単純な系などでは、上記のような安定水分活性帯の挙動を示すものの、それぞれの食品に含有
    する抗酸化成分や、逆に金属などの酸化を促進する成分、加熱条件、保管条件などの影響により、安定する水分活性
    が違うということをご理解いただければ幸いです。
    ご参考までに、関連文献のURLを添付いたしますので、補足資料としてご利用下さい。
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/25/5/25_5_249/_pdf/-char/en

    #14662 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】 
    講義ありがとうございました。各種油の風味を構成する要因についてお聞きしたいです。講義の中で、風味がある米油と、あっさりだが酸化安定性の高いパーム油を併用していたり、テキスト中に大豆油には甘みがあるうま味があるとの記述がありました。これらのおいしさを形成するものは、脂肪酸組成以外のものと考えられますでしょうか?もしそうであれば、実際、油脂分以外の成分の味への影響等を考察した報告等あればご教示いただけると幸いです。

    【講師回答】
    ご質問をありがとうございます。
    おいしさを形成するものは、脂肪酸組成以外のものと考えられますでしょうか?とのご質問ですが、
    答えは主に脂肪酸以外のものと考えられます。すなわち、過酸化物の分解物であるアルデヒド、ケトン、アルコール類が食品の呈味に影響を及ぼすことが知られているところです。
    それが全てが悪い方に行くというわけではなく、おいしさにも寄与することは、述べられましたポテトチップスの例につながると思います。
    油脂分以外の成分の味への影響等を考察した報告等については、各種油脂の酸化分解物で多く生成するアルデヒド「ヘキサナール」がグルタミン酸ナトリウム(MSG)のうま味を増幅するという論文例のURLを添付いたしますので、ご参考にして下さい。

    「油脂と味覚応答」オレオサイエンス 第 19 巻第 3 号(2019)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/19/3/19_103/_pdf/-char/ja

    この研究では、アラキドン酸由来のヘキサナールと論じておりますが、述べましたとおり、ヘキサナールは油脂の加熱臭の成分としてよく認知されています。
    このように、油脂の酸化分解物は異風味となり、好ましい風味にもなり、味にも影響する、食品のおいしさにとって重要な成分であるといえます。

4件の投稿を表示中 - 1 - 4件目 (全4件中)
返信先: 食用油脂の基礎と劣化防止技術
あなたの情報: