<習得知識>
・理化学・微生物・官能評価はそれぞれ独立した万能手法ではなく、あくまで一側面であるという認識
・原材料・調理法・保管温度などの要因が複合的に品質劣化を引き起こすという実態理解
・官能評価におけるパネル精度の確立・維持の限界と、成果との実効性に対する批判的視点
・品質評価や期限設定において、単一指標ではなく多面的な視点が必要であるという理解
・期限予測の正確性は、事後のフォローアップ検証によって初めて確認されるという実務的知識
・期限設定業務においてもPDCAサイクルを回すことの重要性とその実践方法
<講師の言葉>
過去には理化学・微生物についての法的な要求事項ですべてが説明されているであるとかアレニウス式が万能であるとか官能評価の方法はすでに確立されているであるといった印象を醸し出している講座・書籍が多く存在していましたが実際にはそんなことはなくすべて一つの切り口から全体像を推察しているにすぎません。
実際には理化学・微生物・官能のそれぞれが使用している原材料によって、調理法によって、保管温度によって綾なすように全体的な品質劣化を生み出しているのです。
官能評価についてもパネルの精度の確立・維持の重要性がよくよく強調されてはいるもののそんなに大変な作業が本当の意味で役立つ成果を生み出しているのかそんな厳しい観点で批評を加えたものはありませんでした。
私たちのもつ評価方法のすべてが小さな鍵穴から部屋の中を覗いているようなものですので目に入った視覚情報が部屋の中全体を代表しているという保証はありません。
そのため実際に正確な期限予測を行えたかどうかはその後のフォローアップ検証にかかっており期限設定という分野であってもPDCAを回していくことが重要であるという体験をしていただきます。
<講義概要>
チルド・定温食品については 期限を設定するための適切なガイドラインは過去には上梓されておらず、期限については各企業が自分たちの経験と、廃版になったとはいえいまだに拘束力をもつ衛生規範との間でもまれながら編み出してきたものといってよいでしょう。
一般生菌数:100,000/g以下(標準平板)
E.coli:陰性(0.01g×3中、EC培地)
黄色ブドウ球菌:陰性(卵黄加マンニット食塩寒天培地)
過去に起きたチルド・定温食品のリコールは 期限の打ち間違いや欠落を主因としたものであって 期限設定の根拠の不備を事由としたものは皆無と言ってよいかと思います。チルド・定温食品の期限の決定については、まずは生物学的指標のクリア、次いで官能評価です。この二つの要求事項を満たして初めて商品を世の中に送り出せます。
期限の延長については、延長を実行に移すと今まで水面下に隠れていた新たな因子が浮上してくるというのが常です。この新たな因子の顕在化に対しても対策を打っていかねばなりません。フォローアップでは今まで気づいていなかった因子の浮上はないか見つけることになります。
食品の品質保証・品質管理という期限の検証分野にいらっしゃる方々、製品開発という期限の設計分野にいらっしゃる方々はもちろん、マーケティング分野の方々にもチルド・定温食品の消費期限・賞味期限がどのように決められているのかを知っていただくいい機会かと思います。今後の製品開発やマーケティングに生かしていただければと思います。
【受講前に確認してほしいこと】
※アレニウス式が万能という解説もありますが、実際には保存試験において適用できるのはごくわずかです。アレニウス式の技術的な限界に強く触れますのでアレニウス式をいろんな場面で応用してみたいといった動機で受講なさった場合には期待が大きく裏切られます。
その代わり個別の事例に対して丁寧にフォローしますので出せる範囲で自社の商品に関する情報をご提示ください。(全体終了後に個別対応します。)
アレニウス式は化学反応による推定式であるため、この式で微生物の加速試験はできません。
食品ごとに反応速度が異なるため、実際と乖離する場合があります。
温度を上げると融解するものはできません。
加速試験とは別に通常の流通・販売温度での保存試験を行い、推定値に問題がなかったか確認することをお勧めします。