講師: 埼玉大学大学院理工学研究科 シニアプロフェッサー 長谷川登志夫 先生
経歴: 1983年 東京大学大学院理学系研究科有機化学専攻修了。埼玉大学理学部基礎科学科助教授などを経て、2007年より埼玉大学大学院理工学研究科助教授。また2014年より埼玉大学研究機構脳末梢科学研究センター兼任教員。日本古来の香気素材の香気プロフィールの解明、特徴的香気を有する化合物の構造と香りの関係の解明、新規香気解析手法を用いたお茶、日本酒、木材など種々の香気素材の香気と特性の検討などの研究を行っている。
講師: 沖縄工業高等専門学校 技術室 技術専門員 (副技術長) 藏屋英介 先生
経歴: 1990年 芝浦工業大学工学部工業化学科卒業後、横浜国立大学工学部物質工学科文部技官を経て、2005年沖縄工業高等専門学校技術専門職員に就任、現在、同技術支援室技術長代理(技術専門員)。2015年熊本大学大学院自然科学研究科産業創造工学専攻にて学位を取得。沖縄の香気素材を中心に、新たな抽出技術や分析技術の開発、機能性評価、香気特性の解析を行っている。最近では、新規香気分析手法により、精油素材の香気特性や”かおり”から見た植物の多様性について研究を行っている。
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対象: これまで香りやにおいについて知識はなく、アカデミックな解説が苦手であった人 知識を習得した上で意識的に香り(におい)の取り扱いができるようになりたい人 香りを専門的に取り扱う人との会話レベルを向上したい人 嗅覚の感度を高めたい人 ※香りを専門的に業務で扱う人向けの教材ではなく、入門者向けの教材です ※香りに携わる技術者のための教育やパネルの育成・スキルの維持にも活用できます
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講座①香りの基本+嗅覚レベルのチェックとトレーニング(動画2h+テキスト+官能評価キット)
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◎香りのキット併用講座 ⓪香りの感度チェック 教材の確認 官能評価の仕方 柑橘のかおりの官能評価 →におい感度のセルフチェック、目的・目標の明確化 3種類の嗅ぎ分け、素材、特徴を捉える(におい嗅ぎ感度の底上げ、分析する脳の育成、かおりの特徴を捉える脳の育成) ①-1香りの有機化学 香りの有機化学基礎 Ⅰ ○有機基礎化学の入門レクチャーを入れる 原子・分子 (においを分子からとらえるイメージをつかんでもらう) ①-2香りを感じるメカニズム 親油性の成分、におい成分の分子構造 ※香りの単一成分の比較キットを使用
②官能評価の基礎 Ⅰ〜香りの違いを嗅ぎ分ける ・官能評価の基礎・概論 Ⅰ ・官能評価を行う上での注意事項 サンプル滴下すぐの印象、残留する香り、におい嗅ぎのリセット
③官能評価の基礎 Ⅱ〜においを嗅ぎ分ける力を養う ・かおりの特徴をつかむ 官能評価の基礎・概論 Ⅱ かおりの特徴を書き出す作業(最低3つの特徴をつかみ表現する) ・低濃度サンプルに挑戦
④香りの有機化学基礎 Ⅱ
官能評価シートをチャットから提出していただくと講師からフィードバックがもらえます。
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講座②におい分子で捉える“複合臭”とその解析・評価技術
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<習得知識> ・におい分子の特徴の理解からにおいを科学的にとらえることができる ・におい分子の観点から複合臭を理解することができる ・におい分子の混合がもたらす特徴を考慮したにおい解析手法の考え方と、 その応用についての知見が得られる
<プログラム> Ⅰ.香りの化学の基礎知識(香料有機化学の基礎) 1.におい分子の構造と性質 ① においの特徴に結びつくにおい分子の構造上の特徴 ② におい分子の化学的な特徴 2.実際のにおい分子をその構造上の特徴から捉える
Ⅱ.においを感じる仕組み(基本を理解する) 1.におい分子とにおいの認識との関係 2.たくさんのにおい分子が集まることによるにおい分子同士の影響
Ⅲ. 素材のにおいはどのように評価したらいいか 1.香気素材の一般的香気分析方法 2.多数のにおい分子の混合(におい分子同士の相互作用)がもたらす素材の香気への影響 3.具体例:白檀などの香材の複合臭の解析の仕方 4.具体例:お茶の複合臭をどうとらえるか
Ⅳ.におい分子の構造の変化が与えるにおいの変化 1.におい受容体とにおい分子の構造 2.テルペン化合物の構造変化とにおいの関係 3.ベンゼン系化合物の構造変化とにおいの関係 4.におい分子の構造を考慮したGC-MS解析
<講義概要> においを感じるという現象は、におい分子とにおい受容体との出会いから始まります。におい素材のにおいは、多くのにおい分子の集合からなる複合臭です。その複合臭をにおいの元であるにおい分子から捉えることによって、複合臭のもたらす様々な現象を理解することができるようになります。そのためには、まずにおい分子を形作っている有機分子についての基礎的な理解が必要です。 本講義では、まずにおい分子について、有機化学的な観点からの基礎知識について説明します。また、においを感じる仕組みの基本を押さえつつ、においの評価については、解析の具体例を挙げながらわかりやすく解説していきます。更には、近年明らかにされたにおい受容の仕組みについての知見をもとに、「におい分子から複合臭をどのように理解することができるのか」を,講演者の研究結果を使って,具体的かつ詳細に解説します。このように,におい分子と複合臭について,科学的な観点から包括的に学ぶことのできる講座となっていますので、においに携わる多くの方々にぜひ聞いていただきたい内容です。
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講座③におい素材の分析 データ解釈の仕方、におい特徴の捉え方
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Ⅰ.におい成分解析に必要なGC-MS法の基本事項 1.GC-MS法の概略 2.GC-MS分析により得られるMSデータの見方 3.GC-MS法から得られるにおい含有成分表の扱い方
Ⅱ.におい受容機構の基礎知識とにおい特徴の解析 1.におい受容機構に基づく複合臭の捉え方 2.におい受容機構を考慮したにおい特徴の解析方法(アロマプロフィール解析) 3.アロマプロフィール解析によるGC-MSデータの解釈例
Ⅲ.実例による素材のにおい特徴のアロマプロフィール解析手法 1.様々な捕集方法の組み合わせから導かれる素材のにおい特徴(実例:白檀など) 2.沸点の違いにより得られる分画物から導かれる素材のにおい特徴(実例:パチュリなど) 3.様々な香気素材(お茶など)のにおい特徴のアロマプロフィール解析
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<習得知識> 1.におい素材の含有成分の分析手法としてのGC-MS法の基本事項の理解 2.におい受容機構に基づいたにおい素材のにおい特徴の捉え方 3.GC-MS法により得られたデータによる素材のにおい特徴の解析の仕方
<講義概要> におい素材のにおいは,多数の成分から構成されている複合臭である。その複合臭を解析するには,まずGC-MSにより,どのような含有成分が含まれているかを明らかにする必要がある。におい特徴の解析に必要なGC-MS法による実際のデータの扱い方を基本から解説する。一方,これまでに明らかにされているにおい受容機構によると,素材のにおいは,含有する成分のにおいの単純な組み合わせではなく,含有成分が複雑に影響しあって作られている。複合臭の解析に必要なにおい受容機構の解説とその知見からGC-MSデータをどのように用いて複合臭を解析するかについて,様々な具体例を挙げて解説する。
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