身近な素材でありながらその理解が難しい【澱粉】に関して、調理科学的視点に立って基礎から解説。加工食品への応用では、その種類と製造技術を説明すると共に、各種の加工澱粉の特長を交えて、アプリケーションを多数紹介します。

澱粉の調理特性と加工食品への応用

■第1部　澱粉の特性と調理・加工への利用 （ 3h）

講師： 愛国学園短期大学 学長・教授 平尾 和子先生

経歴： 澱粉および澱粉含有食品を対象とした調理・加工特性に関する研究

Ⅰ．澱粉の種類と特徴
　1. 天然澱粉
　　① 地下澱粉： 馬鈴薯、甘藷、クズ、ワラビ、キャッサバ(タピオカ)
　　② 地上澱粉： トウモロコシ、米、小麦、サゴ、エンセットなど
　2. 難消化性澱粉（レジスタントスターチ）
　3. 加工(化工)澱粉
　4. 澱粉分子と構造
　　① 澱粉粒
　　② アミロースとアミロペクチン
　　③ その他
　5. 雑穀

Ⅱ．澱粉の糊化・老化について
　1．澱粉の糊化・老化とは
　2. 澱粉の老化に影響を及ぼす因子
　3. 澱粉に及ぼす調味料の影響
　4. 澱粉の糊化・老化に関する測定法
　　① ビスコグラフィ／ラピッドビスコアナライザー（RVA）
　　②偏光顕微鏡
　　③ X線回折
　　④ 膨潤度／溶解度
　　⑤ フォトペーストグラフィ
　　⑥ 熱分析（DSC）
　　⑦ 糊化度
　　⑧ テクスチャー

Ⅲ. 澱粉のその他の性質
　1．澱粉の形状と調理性（粉体、ゾル、ゲル）
　2．澱粉のゲル化
　3．曳糸性
　4．デキストリン化
　
Ⅳ. 澱粉の調理
　１．粉末としての利用
　２．低濃度での利用
　３．高濃度での利用
　４．加工食品（米ゲル、はるさめ、タピオカパール等）

Ⅴ．澱粉質食品の研究例
　１．わらびもち
　２．カスタードクリーム
　３．ブラマンジェ
　４．パイフィリング
　５．麺
　６．ハルサメ
　７．クッキー
　８．スポンジケーキ
　９．パン
　10．大麦飯
　11．その他

■第2部　食品用加工澱粉の特性と各種食品への利用技術 （2h）

講師： 日本食品化工株式会社 研究所 研究二課 高口 均氏

Ⅰ．食品用加工澱粉の種類と特徴
　1．未加工澱粉の種類と特性
　　・澱粉の種類、糊化、老化特性の違い
　2．食品用加工澱粉の種類と特性
　　① 化学的加工澱粉（食品添加物）と物理加工澱粉
　　② 加工による澱粉の特性変化と主な利用方法

Ⅱ．加工澱粉の各種食品への利用方法
　1．タレ・ソース類への利用（粘度の付与及び安定化／酸・レトルト耐性の付与）
　2．水畜産練製品への利用（食感改良[ゲル強度の付与]、保存安定性の向上）
　3．フライ食品への利用（衣の物性改善、冷凍耐性、中種との接着性付与）
　4．麺類、その他への利用（食感の安定化、コストダウン、剥離性向上）　　　　　　　　　

★加工度の違いによるゲル物性の触感体験あり