<習得知識>
・電動車の技術課題とこれからの市場導入優先度について
・自動車の今後のCO2総排出量予測と削減目標達成のために必要な基準強化値
・エンジンの燃料多様化への対応について
・2050年に向け、燃料多様化を含めたエンジン車、電動車のロードマップと考え方
・各国政府が2030年~2035年にエンジン車廃止と表明している背景と実現可能性
<講義概要>
地球温暖化による気候変動が、人類の生活に甚大な影響をおよぼし脅威を増している。先進国、新興国の大半は、国連が提示する『2030年までにCO2を現状の45%まで低減、2050年に排出ゼロ』をコミットしている。一方で、コロナウイルスの蔓延により経済はリーマンショックを上回るダメージを受け、多くの方々が亡くなられた。
また、経済活動の停滞により環境が改善し、美しい地球が戻ったという報道が各国より寄せられ、CO2も前年比で—7%と初めて減少に転じた。温暖化に歯止めをかけなければ、自然災害とウイルスの蔓延という脅威が年々拡大し、経済成長どころではなくなることを人類は認識する必要がある。持続可能な社会の実現に向け、CO2削減は待ったなしの緊急課題であることは自明であり、自動車産業のみならず、エネルギー、電力などあらゆる産業が、環境改善と経済成長を実現できる変容が必要となる。世界全体の排出量の18%を占める4輪車は、エンジン車の燃料を石油系からカーボンニュートラル燃料等に転換し、併せて技術の完成度を見極めながらクリーンな電動車への普及拡大を進めることが必要となる。また、40%を占めるエネルギー資本/電力セクターは、化石燃料からカーボンニュートラル燃料、再生可能エネルギーへの転換が急務である。2016年パリ協定の発効、2109年国連気候行動サミットでの提示、およびコロナ禍で拍車がかかったこともあり、主要国政府の大半は2030年から2035年までにエンジン車を廃止するという野心的な目標を表明した。
本講座では、それらの表明に至った背景について解説し、果たして技術の完成度、ユーザーニーズ、雇用、資源なども考慮した時に、エンジン車廃止がCO2を削減するための現実的な解となり得るのかを紐解きたい。併せて、CO2削減目標を達成するための現実的な戦略も提示する。