廣田浩一氏講座の質問と回答

  • このトピックには6件の返信、1人の参加者があり、最後にT・Oにより2年、 9ヶ月前に更新されました。
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  • #14921 返信
    T・O
    キーマスター

    山の手合同国際特許事務所 廣田浩一 氏 の回答です

    #14949 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】
    パラメーター発明での先行技術文献の選択のコツがありましたら、教えて頂きたいと考えております。
    パラメーター発明での出願の場合、先行技術文献には、進歩性を指摘される文献を記載し、その文献に対して、パラメーターの効果を明確にして記載する方がよいか。
    それとも、進歩性を指摘されるような文献を記載しない方がよいか。
    どちらがよろしいでしょうか。

    【回答】
    当該先行技術文献が当該パラメータ発明の出願の審査においてどの程度引用される蓋然性が高いかによると考えます。
    引用される蓋然性が高い場合には、先行技術文献として明細書中に記載し、当該パラメータに基づく進歩性を当該明細書中に明確化した方がよいと考えますが、
    それ以外の場合は、明細書中に先行技術文献として記載しなくてもよいかと思われます。
    ただし、拒絶理由が通知された際に進歩性を主張できるように、当該先行技術文献に対して準備はしておいた方がよいと考えます。

    #14950 返信
    T・O
    キーマスター

    tdo2020070901について
    【質問】
    セミナー資料P.43~45に関して、「マキサカルシトール」事件が例に挙げられているかと思います。
    私の学習では、マキサカルシトール事件は請求項に記載されていない要件(トランス体)について
    請求項に記載要件(シス体)と均等である為、特許侵害が認められた事件であると存じております。
    しかし、資料では、請求項に記載されていない要件(LED通知)は均等侵害にはならないということですが、こちらは、均等論第5要件に基づいた例示であり、「マキサカルシトール事件」全般を例示にとっている訳ではないという解釈で間違いないでしょうか。

    【回答】
    大変ハイレベルなお問合せをいただきまして誠にありがとうございました。
    テキスト資料p43の「マキサカルシートル」事件の最高裁判決では、均等論成立のための第5要件について、明細書にはAを記載(開示)しておきながら、請求項にはAを記載しなかった(含めなかった)場合は、権利範囲から除外したと客観的、外形的に理解できるので、権利化後にAにつき均等論侵害が成立する旨の主張は認容されないとされました。
    本事件では、ご指摘・ご理解のとおり、
    「シス体」のみが明細書及び請求項に記載され、「トランス体」は明細書及び請求項に記載されておりませんでしたので、
    「トランス体」については、権利範囲から除外したとは客観的、外形的に理解できないとして、均等論侵害が成立しました。
    もし仮に本事件において、「シス体」と「トランス体」とを共に明細書に記載しておきながら、「シス体」のみを請求項に記載して権利請求をしていた場合には、テキスト資料p43の「LED表示通知」と同様に、「トランス体」については、権利範囲から除外したと客観的、外形的に理解できることになりますので、権利化後に均等論侵害が成立する旨の主張は認容されないことになります。

    #14951 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】
    カリン由来抗ウィルス剤の事例について、
    果実には種子が含まれるのではないかと思う(果実=果肉+種子)のですが、
    果実抽出物の特許権者(A)が、種子を含む果実から得た抽出物をさらに精製して
    種子抽出物と同等の抗ウィルス剤を得た場合は、Aは種子抽出物の特許権者(B)に対して
    特許侵害していることになるでしょうか?

    【回答】
    ハイレベルなご質問です。
    特許権者Aが精製して得た抽出物が「種子抽出物」と区別できないものである場合には、特許権者Aの当該抽出物は特許権者Bの特許権の侵害に該当し得ます。
    特許権者Bの当該特許発明は、「かりん種子抽出物」という物の「抗ウイルス剤」という用途に係る発明であり、「かりん種子抽出物」については製法等につき何ら限定されていないからです。

    • この返信は2年、 9ヶ月前にT・Oが編集しました。
    #14952 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】
    最近の特許法改正で、査証制度ができましたが、実際に食品業界でこの権利を行使するのは
    ハードルが高いのではないかと思います。一体いくらくらいの損害賠償を見込む場合に
    査証制度を使うのにペイするでしょうか?知財業界内でざっくり考えられる規模感があれば
    ご教示いただければ幸いです。(個人的なご意見でも結構です。)
    (数百万ではペイしないような印象をもちます。最低でも賠償額が数千万円単位でしょうか?)
    また、査証制度を実際に使って証拠が出なかった場合は、踏み込んだ相手方に損害賠償を
    求められる可能性はありますでしょうか?(工場の操業を止める期間の休業補償など)

    【回答】
     大変難しいご質問です。
     査証制度は昨年10月1日から施行されたばかりであり、まだ適用された事件の判決はございません。
     よって、事案の蓄積がないと具体的なことは申し上げられないというのが正直なところであります(申し訳ございません)。
     査証の申立が不適切であって被告に不利益が生じ得ると判断されれば、査証が行われなくなるだけですし、査証が行われるとしたらそれは必要な証拠調べとして行われるだけであり、また、査証の結果、営業秘密に関する事項については、訴訟記録として公開されないように、被告側は黒塗り表示の申立も可能ですので、査証手続の結果、そのこと自体を理由に相手から損害賠償請求を受けることはないと考えられます。
     食品分野の場合、セミナーでもお話をしましたが、特許権者が権利行使をしますと、相手方が無効主張を行ってきます。特許発明がパラメータ発明の場合には、無効化されるリスクが高くなります。その意味で、他分野よりも無効化がされ易い食品分野では、査証制度の活用の前に、権利行使後の相手方の無効主張に耐え得るかなども検討しなえればなりません。

    • この返信は2年、 9ヶ月前にT・Oが編集しました。
    #14953 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】
    「大豆ルネサンス」や「USS製法」を商標登録されているのは確かに企業としてはあまり類を見ない試みであると思いました。他人に流用されないようにという効果は理解できるのですが、その他に企業戦略を商標化することの具体的なメリット(効果)としてどのようなものがあるでしょうか? 漠然とした方がいいとは感じるのですが、具体的に思い浮かびづらく、質問させていただきました。

    【回答】
     これらの用語が消費者にもイメージが定着した場合(周知化した場合)、これらの用語を他社がビジネスの場面で使用して希釈化されないようにする意図はあると考えます。あとは、ビジネスで使用する用語一つ一つも知財で権利を有していることの社内外へのアピール(社内での知財意識向上、社外への知財を意識した企業であることの宣言など)もあるかと思われます。

    • この返信は2年、 7ヶ月前にT・Oが編集しました。
    #14954 返信
    T・O
    キーマスター

    【質問】
    【請求項1】カリン種子抽出物を有効成分とする抗ウイルス剤。
    【請求項2】カリン種子抽出物が、カリン種子エタノール抽出物である・・・。
    に対する新規出願アイデアとして、
    【請求項●】カリン種子超臨界流体抽出物を有効成分とする抗ウイルス剤。
    を挙げておられましたが、この請求項は上記請求項1に抵触するのではないでしょうか?
    請求項1では単に「カリン抽出物」を規定しているだけで、超臨界であれアセトンであれ抽出の手法を問わず、「カリン抽出物」を抗ウイルス剤として使用するのは問題があるような気がするのですが?
    (請求項2のように、請求項1でエタノール抽出と規定しているのであれば問題ないと思います。)
    基礎的な質問で申し訳ありませんがよろしくお願い申し上げます。

    【回答】
     とてもよいご質問です。
     カリン種子超臨界流体抽出物を有効成分とする抗ウイルス剤の後願発明は、
     カリン種子抽出物を有効成分とする抗ウイルス剤の特許(先願)発明に対しては、
     「超臨界流体」での抽出を選択したので、選択発明として新規性を有し、超臨界流体抽出によるメリットがあれば進歩性も有するので、特許され得ます。
     しかし、特許後は、先願特許発明に対し、利用関係がありますので、後願発明を実施すると先願特許権の侵害となり、先願特許権者からライセンスを受けることが必要になります。
     先願特許権者は、超臨界流体抽出物は後願権利者に特許を取られてしまったので、後願権利者からライセンスを受けないと実施することができません。
     そこで、カリン種子の超臨界流体抽出物が高性能なものであれば、後願権利者と先願権利者との間で互いの特許を無償で利用できるようにするクロスライセンスを締結することができます。この場合は、お互いは自由に特許発明を実施できますが、第三者が実施した場合には侵害を主張できるようになります。

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返信先: 廣田浩一氏講座の質問と回答で#14950に返信
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